2026年2月25日水曜日

モダンフルート vs フラウト・トラヴェルソ (Gemini)

 トラヴェルソの演奏を聴いただけで、その人がモダンフルートの経験があるかないかがわかるらしいけど、具体的にどんな違いがあるの?

 ---------- Gemini
はい、耳の肥えた古楽奏者や愛好家が聴くと、「あ、この人はモダンフルート出身だな」というのは、最初の数音でわかってしまうことが多いです。

これは良し悪しというよりも、「楽器に対するアプローチのOS(基本ソフト)」が根本的に違うことに起因します。具体的にどの部分に違いが出るのか、主なポイントを4つに整理します。

1. ヴィブラートのかけ方(最も分かりやすい違い)

  • モダン経験者の特徴: 無意識に、ほぼすべての長い音符にヴィブラートをかけてしまいがちです。モダンでは「音を美しく響かせるための基本仕様」としてヴィブラートを使います。
  • トラヴェルソ本来のスタイル: 基本的にノン・ヴィブラートで吹き、ヴィブラート(フラットマン)は「装飾音」として、特定の音を強調したい時だけ意図的にかけます。
  • 聴こえ方の違い: モダン奏者のトラヴェルソ演奏は、常に音が揺れているため、バロック特有の「静謐さ」や「和音の純正な響き」が感じにくくなります。

2. 息のスピードと圧力(音の張り)

  • モダン経験者の特徴: モダンフルートは管体が金属で、抵抗感も強いため、強い息圧で管を鳴らし切ろうとします。これをトラヴェルソでやると、音が「張りすぎる(オーバーブロー気味になる)」傾向があります。特に高音域で音が硬く、鋭くなりがちです。
  • トラヴェルソ本来のスタイル: 楽器の抵抗が少ないため、もっとリラックスした、密度の高い「静かな息」を使います。
  • 聴こえ方の違い: モダン奏者の演奏は、全体的に「頑張って鳴らしている」感じに聴こえがちですが、本来のトラヴェルソはもっと「ポワン」とした、木の柔らかい響き(成分にノイズが混じるような温かさ)がします。

3. アーティキュレーション(言葉の喋り方)

オトテールなどの教則本にご興味がおありなら、ここが一番面白い部分かもしれません。

  • モダン経験者の特徴: 均一できれいなレガート(音と音を滑らかにつなぐ)や、鋭いスタッカートが得意です。タンギングは「トゥ・ク(T-K)」などのダブルタンギングを使い、機関銃のように均等な粒立ちになりがちです。
  • トラヴェルソ本来のスタイル: 音楽を「歌う」というより「喋る」ように捉えます。「トゥ・ル(Tu-Ru)」のような柔らかいタンギングを多用し、音符を均等には吹きません(イネガル奏法など)。
  • 聴こえ方の違い: モダン奏者の演奏は「均一で滑らかなライン」に聴こえますが、トラヴェルソ奏者の演奏は、単語を語るような「強弱の抑揚(アクセントとは違う、音の重みの違い)」がはっきりと聴こえます。

4. 音の減衰(ディケイ)の処理

  • モダン経験者の特徴: フレーズの最後まで音量を保とうとする(あるいはクレッシェンドしていく)傾向があります。
  • トラヴェルソ本来のスタイル: バロック音楽、特にフランスバロックなどは、音が鳴った瞬間に減衰していく(ディケイ)美しさを大切にします(リュートやチェンバロの残響のイメージ)。また、長い音の中央を膨らませる「メッサ・ディ・ヴォーチェ(Messa di voce)」を多用します。
  • 聴こえ方の違い: モダン奏者の演奏は「四角いブロック」を並べたように聴こえることがありますが、トラヴェルソ本来の演奏は、一つ一つの音が「紡錘形(ラグビーボール型)」のように膨らんで消えていく、有機的な連なりに聴こえます。

結論

モダンフルートの経験がないあなたは、最初から「均一に吹かない」「ヴィブラートに頼らない」「音を喋るように扱う」という、バロック本来の美学を真っ白な状態でインストールできます。

これは、モダン奏者が長年の癖を「脱学習(アンラーニング)」して手に入れようと苦労している境地です。ですので、経験がないことを恐れず、むしろ「当時の人と同じ条件でスタートできる」と自信を持って取り組んでみてください。

ちなみに、現在はどのような楽曲(あるいは作曲家)を目標に練習を始めようとされていますか? それによって、意識すべき「訛り(なまり)」のようなものも少し変わってきます。

 

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