2026年1月11日日曜日

タロット・ソリティア (Gemini)

トランプのソリティア(クロンダイク)の経験がなくても大丈夫です。タロット78枚をフルに使った一人遊びは、非常にやり応えのある「カードのパズル」です。

タロットはトランプよりも枚数が多く、スート(マーク)も1つ多いため、少し広めのテーブルで遊ぶのがおすすめです。


タロット・ソリティアの準備と用語

まず、用語とカードの「強さ(順番)」を覚えましょう。

1. カードの順番(ランク)

  • 小アルカナ: 王(14)>女王(13)>騎士(12)>小姓(11)>10 >……> 2 > 1(エース)

  • 大アルカナ: 21(世界)> 20 >……> 1(魔術師)> 愚者(0とみなします)

2. 場(テーブル)の構成

  1. 山札(ストック): 残りのカードを裏向きに置いておく場所。

  2. 組札(ファンデーション): 最終的にカードを仕分けして積み上げる「ゴール地点」。

  3. 場札(タブロウ): 実際にカードを動かして整理するメインの作業場。


ゲームのセットアップ(並べ方)

  1. 78枚すべてをよく混ぜます。

  2. 場札(タブロウ)を作ります。左から右へ10列、以下のように並べます。

    • 1列目:1枚(表向き)

    • 2列目:2枚(一番上だけ表、下は裏)

    • 3列目:3枚(一番上だけ表、下は裏)

    • ……というように、10列目には10枚並べます。

    • ※これで合計55枚使います。残りの23枚は山札として横に置いておきます。


ゲームの目的(ゴール)

「組札(ゴール地点)」に、すべてのカードを正しい順番で積み上げることです。

  • 小アルカナ用(4箇所): スートごとに「1(エース)」から始まり、「王」まで順番に重ねます。

  • 大アルカナ用(1箇所): 「愚者(0)」または「1」から始まり、「21」まで順番に重ねます。


基本ルール(カードの動かし方)

ここがパズルのメイン部分です。場札にある表向きのカードを、以下のルールに従って動かします。

A. 場札(タブロウ)の中での移動

  • ルール: 「今あるカード」の上に、**「1つ数字が小さいカード」**を置くことができます。

  • スートの制限: 同じスートを続けてはいけません。

    • 例:**「金貨の10」の上には、金貨以外の「剣・杯・棒の9」**を置けます。

  • 列の移動: 重なっている列(例:10の上に9、その上に8がある状態)は、まとめて別の列に移動できます。

  • 空いた列: 場の列が空になったら、どのカード(または重なっている列)でもそこに置けます。

B. 山札(ストック)の使用

  • 場札で動かせるカードがなくなったら、山札から3枚めくります(一番上の1枚だけが使えます)。

  • 使えるカードがなければ、さらに3枚めくります。山札がなくなったら、捨てた札をひっくり返して再利用します。

C. 組札(ゴール)への移動

  • エース(1)や愚者(0)が出てきたら、すぐに画面上方の「ゴール地点」へ移動させます。

  • その後、その上に順番通り(次は2、その次は3……)のカードを場から移動させることができます。

  • 一度ゴールに入れたカードは、原則として場には戻せません。


攻略のヒント

  1. 裏向きのカードを早く開ける: 場札にある裏向きのカードを減らすことが最優先です。その下のカードが自由にならないと、手詰まりになりやすいためです。

  2. 空き列を有効活用する: 10列のうちどこかを空っぽにできると、そこに邪魔なカードを一時避難させたり、大きな列を移動させたりできるので、非常に有利になります。

  3. 大アルカナの扱い: 大アルカナは22枚の長い列になります。これを場札で整理しすぎると場所を取るため、できるだけ早めにゴール(組札)へ送るのがコツです。


初めて遊ぶ方へ

最初は「スートに関係なく、1つ小さい数字なら何でも重ねてOK」という**「イージーモード」**で遊んでみるのも手です。78枚のカードが織りなす圧倒的なボリューム感と、マルセイユ版の美しい図像が机に広がる様子は、それだけで非常に優雅な時間になります。

マルセイユタロットカードでひとりでゲーム (Gemini)

タロット(特にマルセイユ版)はもともと対戦型ゲームとして発展したため、歴史的なルールの多くは3〜4人用ですが、**「1人で遊ぶためのルール(ソリティア/パターンス)」**も存在します。

トランプの「七並べ」や「ソリティア」に近い感覚で、カードの構成(78枚)をフルに活かした遊び方ができます。いくつか代表的なものをご紹介します。


1. 78枚フルデッキ・ソリティア(トランプ・ソリティアの拡張版)

トランプで遊ぶ「クロンダイク」のようなゲームを、タロットの構成に合わせて拡張した遊び方です。

  • 準備:

    • 4つのスート(各14枚)と、大アルカナ(22枚)を分けずに混ぜるか、あるいは「スートのみ」で遊びます。

  • ルール(一例):

    1. 場に数枚のカードを並べ、スートごとに「1(エース)からキング」まで順番に重ねていくことを目指します。

    2. 難易度: タロットは1スートが14枚(騎士が加わるため)あり、さらに大アルカナが「第5のスート(切り札)」として存在するため、トランプよりも格段に難易度が上がり、パズルとしての解き応えが増します。

2. エテイヤのソリティア(歴史的な一人遊び)

18世紀末、タロットを占いとして体系化したエテイヤ(Etteilla)が紹介した一人遊びです。これは「占い」と「ゲーム」の中間のような性質を持っています。

  • やり方:

    1. カードをよく混ぜ、特定の枚数ずつ場に並べていきます。

    2. 特定の組み合わせ(例:同じ数字が揃う、特定のカードが隣り合うなど)が現れるまでカードをめくり続け、最終的にすべてのカードがルールに従って処理できれば「成功」となります。

  • 文化的な背景: 当時の人々は、これで「運勢」を占うと同時に、純粋に**「カードが綺麗に並ぶかどうか」という確率のパズル**として楽しんでいました。

3. 「時計(L'Horloge)」

フランスの古いトランプ遊びをタロット版にアレンジしたものです。

  • ルール:

    1. 大アルカナの1番から12番を、時計の文字盤のように円形に並べます。

    2. 残りの手札を順番にめくり、その数字に対応する「位置」にカードを置いていきます。

    3. 手札がなくなる前に、すべての位置に正しい枚数のカードが積み重なればクリアです。

  • 魅力: マルセイユ版の1番(魔術師)から12番(吊るされた男)までの図像が円形に並ぶ様子は非常に美しく、視覚的にも楽しめます。


4. ひとりで楽しむ「図像の歴史探索」

ゲームというよりは「知的遊戯」に近いですが、15世紀イタリアや18世紀フランスの歴史に詳しいあなたにおすすめの楽しみ方です。

  • カードの対比: 大アルカナ22枚を、数字の順に「1枚ずつ」じっくり眺めていきます。

    • 例えば、「皇帝」のカードが持っている紋章の鷲の向きや、「教皇」の前に跪いている人物の服の模様など、細部を観察して当時の社会背景を考察するのは、1人の時間に非常に適した贅沢な遊びです。

  • ナラティブ・リーディング: 3枚ほどカードを適当に引き、それらを組み合わせて「当時のフランスの村で起きた喜劇(あるいは悲劇)」のストーリーを即興で作ってみる。これは、ルネサンス期のサロンで行われていた「詩の朗読遊び」の1人版と言えます。


まとめ:1人でやるなら

もし**「パズルとして頭を使いたい」のであれば、前述したいなりしんいち氏のサイト(Game Farm)**や書籍で、トランプのソリティアをタロットに置き換える応用ルールを調べてみるのが一番の近道です。

一方で、**「バロック・ルネサンスの雰囲気に浸りたい」**のであれば、カードを歴史的な資料として1枚ずつ鑑賞しながら、当時の宮廷の様子を空想するのが、ある種最も「本来のタロットらしい」1人の楽しみ方かもしれません。

最初は、まずは伝統的なマルセイユ版を1デッキ手に入れて、**「78枚をスートと数字の順に並べ直す」**という作業から始めてみるのはいかがでしょうか。これだけでも、カードの質感や絵柄の法則性が分かって意外と没頭できますよ。 

マルセイユタロットのカードの見分け方 (Gemini)

マルセイユタロットは全部で78枚ありますが、そのうち**「大アルカナ」は22枚**です。

見分ける一番簡単なポイントは、「カードの上下に枠があり、数字や名称が書かれていること」、そして**「象徴的な人物や場面が描かれていること」**です。

以下のリストと見分けるコツを参考にしてください。


大アルカナ22枚のリスト

マルセイユ版では通常、カードの下部にフランス語で名前が書かれています。

番号フランス語表記 (カードの記載)日本語名称
(なし/0)LE MAT愚者
ILE BATELEUR魔術師(手品師)
IILA PAPESSE女教皇
IIIL'IMPÉRATRICE女帝
IVL'EMPEREUR皇帝
VLE PAPE教皇
VIL'AMOUREUX恋人
VIILE CHARIOT戦車
VIIILA JUSTICE正義
IXL'ERMITE隠者
XLA ROUE DE FORTUNE運命の輪
XILA FORCE
XIILE PENDU吊るされた男
XIII(名前表記なし)死神(名無しのカード)
XIVTEMPÉRANCE節制
XVLE DIABLE悪魔
XVILA MAISON DIEU神の家(塔)
XVIIL'ÉTOILE
XVIIILA LUNE
XIXLE SOLEIL太陽
XXLE JUGEMENT審判
XXILE MONDE世界

見分けるための3つの特徴

  1. ローマ数字があるか?

    カードの上部に「VII」や「XVIII」などのローマ数字が書かれているものは大アルカナです。

    • ※例外:**「LE MAT(愚者)」**には数字がないことが多いです。

    • ※例外:**「XIII(死神)」**は、不吉を避けるため名前が書かれていないのが伝統的なマルセイユ版の特徴です。

  2. 具体的な「絵柄」があるか?

    大アルカナは、皇帝、太陽、悪魔など、ひと目で「何かのキャラクターや場面」とわかる絵が描かれています。

    • これに対し、小アルカナ(数札)はトランプのように「剣が3本」「コインが5個」といった図形的なデザインがメインです。

  3. カードの下に名前があるか?

    カードの下枠に「LE JUGEMENT」のようにフランス語で名称が入っていれば、それは大アルカナです(「コートカード」と呼ばれる小アルカナの人物札にも名前がありますが、それらは「PAGE(小姓)」「REINE(女王)」など役職名になっています)。


迷いやすいカード

  • 「コートカード(人物札)」との違い

    小アルカナの中にも、王(ROI)や女王(REINE)などの人物札が16枚あります。大アルカナと似ていますが、大アルカナには必ず番号がついているので、そこで区別してください。


マルセイユタロットの小アルカナ(56枚)は、現代のトランプの原型とも言われており、日常的な事柄や具体的な状況を表すのが得意なカードです。

大きく分けると、「4つのスート(マーク)」と、各スートに「10枚の数札」、**「4枚のコートカード(人物札)」**で構成されています。


1. 4つのスート(組)

小アルカナはまず、以下の4つのカテゴリーに分かれます。

スート名(仏語)日本語訳象徴するものトランプでの対応
BÂTONS (バトン)棍棒 / 杖情熱、エネルギー、労働、火クローバー
ÉPÉES (エペ)知性、対立、決断、風スペード
COUPES (クープ)聖杯感情、愛、人間関係、水ハート
DENIERS (ドゥニエ)硬貨物質、金銭、成果、地ダイヤ

2. カードの構成(各スート14枚ずつ)

各スートの中身は、1から10までの数字のカードと、4枚の人物札でできています。

数札(1〜10)

マルセイユ版の最大の特徴は、**「数札に具体的な絵(人物など)が描かれていない」**ことです。

  • 1(エース): そのスートの象徴が大きく1つ描かれています。

  • 2〜10: その数だけスートの紋章が並んでいます。

【見分けのコツ:剣と杖】

初心者の方が最も迷うのが「剣(エペ)」と「杖(バトン)」の違いです。

  • 剣(ÉPÉES): 曲線的。2つの剣が交差して「楕円形」のような枠を作っているのが特徴です。

  • 杖(BÂTONS): 直線的。まっすぐな棒が格子状に組み合わされています。

コートカード(人物札・4種類)

各スートに以下の4人がいます。大アルカナと違い、カードの下部に役職名が書かれています。

  1. VALET (ヴァレ / 小姓): 若者、メッセンジャー、準備段階。

  2. CAVALIER (カヴァリエ / 騎士): 行動力、変化、進展。

  3. REYNE (レーヌ / 女王): 受容、管理、内面的な力。

  4. ROY (ロワ / 王): 支配、完成、権威。


3. マルセイユ版小アルカナの「読み方」のヒント

有名な「ウェイト版(ライダー版)」と違い、マルセイユ版の数札は幾何学的な模様です。そのため、以下の2つの要素を組み合わせて意味を捉えるのが一般的です。

  • スートの性質(例:硬貨=現実的な利益)

  • 数字の意味(例:2=対立・バランス、3=発展・形成)

例えば、**「硬貨(ドゥニエ)の3」**であれば、「現実的なことが発展し始める = 仕事が軌道に乗る、貯金が増え始める」といった具合に解釈していきます。


小アルカナを見分けるチェックポイント

もし手元のカードが小アルカナかどうか迷ったら、以下を確認してください。

  • ローマ数字が上部にない(数札の場合、数字は左右の端に小さく書かれているか、書かれていないことが多いです)。

  • カードの下に「VALET」「REYNE」などの役職名がある(これは人物札です)。

  • トランプのように同じマークが並んでいる(これは数札です)。

まずは「4つのスート(杖・剣・杯・硬貨)」がどれかを見分けるところから始めてみると、ぐっと分かりやすくなります。


タロットについて (Gemini)

タロット(特にマルセイユ版の原型)は本来、**占いのための道具ではなく「カードゲーム用の遊具」**として誕生しました。

あなたが関心をお持ちの15世紀イタリアや17世紀・18世紀のフランスという時代背景と照らし合わせると、その歴史はより鮮明に見えてきます。


タロットの本来の姿:トランプの親戚

タロットは15世紀中頃、ルネサンス期の北イタリア(ミラノやフェラーラなど)で誕生しました。当時は**「タロッキ(Tarocchi)」と呼ばれ、貴族の間で流行したトリックテイキング・ゲーム**(現在のブリッジやホイストに近いゲーム)に使われていました。

  • 構成の理由: 現在のタロットにある「大アルカナ(22枚)」は、もともとはゲームを有利に進めるための**「切り札(Trionfi)」**として追加されたものでした。

  • 絵柄の正体: 描かれている「皇帝」「教皇」「死神」などの図像は、当時のヨーロッパ社会における**「人生の教訓」や「社会階級」を並べた寓話的なパレード**のようなものでした。神秘的な意味を隠していたわけではなく、当時の人なら誰でも知っている「共通認識」が描かれていたのです。

「マルセイユ版」は大量生産されたゲーム盤

17世紀から18世紀(バロック時代から古典派の頃)にかけて、タロットはフランスのマルセイユなどで木版画による大量生産が始まりました。これが現在私たちが「マルセイユタロット」と呼んでいるもののルーツです。

この時代のマルセイユ版も、あくまで**「庶民が酒場で遊ぶためのゲームカード」**でした。そのため、小アルカナ(数札)の絵柄が簡素なのは、占いの意味を込める必要がなく、単に数字とスート(マーク)が分かれば十分だったからです。


いつ、なぜ「占い」になったのか?

タロットが神秘的なものと結びついたのは、実は18世紀末、フランス革命前夜のパリでした。

  1. 知識人の「再発見」 (1780年代):

    エジプト思想などに傾倒していた学者アントワーヌ・クール・ド・ジェブランらが、酒場で遊ばれていたタロットを見て、「これは古代エジプトの知恵が隠された秘密の書物に違いない!」と**(歴史的根拠なく)主張**し始めました。

  2. プロの占い師の登場:

    その後、エテイヤ(Etteilla)という人物が、初めてタロットに「占術的な意味」を割り振り、占い専用のデッキを出版しました。

  3. カバラ等との合体 (19世紀〜):

    前回お話しした「カバラ」や「生命の樹」といった神秘思想とタロットが本格的に結びつくのは、さらに後の19世紀、エリファス・レヴィなどの魔術研究家たちが理論化してからです。


現代の視点:ゲームか、占いか

現在でもフランスやイタリアの一部地域では、タロットは**「フランス・タロット(Jeu de Tarot)」**という名前で、囲碁や将棋のように純粋なゲームとして親しまれています。

補足: > あなたが以前興味を持たれていた、15世紀のイタリアやスペインの作曲家たちが活躍していた宮廷でも、彼らは音楽を奏でる傍ら、こうしたタロッキ・カードで遊んでいたかもしれませんね。

マルセイユタロットを学ぶ際に、こうした「もともとはゲームだった」という視点を持つと、絵柄を「おどろおどろしい予言」としてではなく、**「当時の風刺画や寓話」**として客観的に観察できる面白さがあります。


本来のタロットゲームは、現在でもフランスやイタリアで**「テュロック(Taroc)」「フランス・タロット(Jeu de Tarot)」**として愛されている、非常に戦略的で奥の深いゲームです。

基本的には、ブリッジやハーツ、ナポレオンなどと同じ**「トリックテイキング・ゲーム」**というジャンルに属します。


1. タロットゲームの基本構造

ゲームとして遊ぶ場合、カードの役割は非常に明確です。

  • 小アルカナ(56枚): 4つの「スート(マーク)」を持つ、いわゆるトランプの役割です。

  • 大アルカナ(21枚 ※21番〜1番): 最も強い**「切り札(Trump)」**です。数字が大きいほど強く、どのスートに対しても勝てます。

  • 愚者(Le Mat): **「言い訳(Excuse)」**と呼ばれます。基本的には「どの場面でも出せるが、勝つことも負けることもない」特殊なカードです。

2. ゲームの流れ(ざっくり解説)

一般的には3〜4人で遊びます。

  1. 配札: 78枚すべてを配りきります(数枚「犬」と呼ばれる場札を残すルールもあります)。

  2. 宣言(セリ): 手札を見て、「自分が主攻(ソロ)になって勝てるか」を宣言します。一番高い条件を出した人が主役となり、残りのプレイヤーは対抗チームになります。

  3. プレイ(トリック):

    • 最初の人が出したカードと同じスートを、他の人も出さなければなりません(マストフォロー)。

    • もしそのスートがなければ、**「大アルカナ(切り札)」**を出してその場を奪うことができます。

    • 全員が1枚ずつ出し、一番強いカードを出した人がその場のカード(トリック)をすべて獲得します。

  4. 得点計算: 最終的に「どのカードを奪い取ったか」で点数を競います。

    • 面白いのは、**「1番(魔術師)」「21番(世界)」「愚者」**の3枚が「ハーツ」でいう高得点札のような役割を持ち、これを獲得することが勝利の鍵となります。


3. 文化的な側面:遊びとしてのタロット

ルネサンスからバロック期にかけて、タロットは単なるギャンブル以上の「教養ある遊び」でもありました。

タロッキ・アプロプリアーティ(Tarocchi Appropriati)

16世紀のイタリアの宮廷で流行した遊びです。

  • 引いたタロットの絵柄(例:「力」や「隠者」)に合わせて、その場にいる人々の性格を褒めちぎったり、皮肉を込めた詩を作って発表したりしました。

  • 当時の文化人にとって、タロットの図像は**「共通の教養(メタファー)」**として機能しており、音楽や文学と同じようにコミュニケーションのツールだったのです。

「死神」や「悪魔」もただの数字

占いだと身構えてしまう「死神」や「塔」といった不吉なカードも、ゲームとしては**「ただの強い数字(13番や15番の切り札)」**に過ぎません。当時の人々は、これらの恐ろしい絵柄を一種のブラックユーモアや「人生の浮き沈み」として、楽しみながらプレイしていました。


4. 音楽ファンとしての視点

バロック音楽がお好きな方なら、フランスの作曲家フランソワ・クープランなどの時代を想像してみてください。当時の貴族のサロンでは、チェンバロの演奏を楽しむ傍ら、隣のテーブルではこのタロットゲームに興じている光景が日常でした。

「占い」という神秘的なベールを剥ぎ取ると、当時の人々がどのようにこの絵柄を消費し、楽しんでいたのかという**「生活の息吹」**が感じられて非常に面白いです。



タロットの「遊戯としての側面」と「図像に込められた中世・ルネサンスの風刺」について、それぞれ詳しく解説します。


1. 現代でも遊ばれる「フランス・タロット」のルール

現代のフランス・タロット(Jeu de Tarot)は、ブリッジのような「点取りゲーム」です。非常に戦略性が高く、フランスでは今でも社交の場で親しまれています。

基本構成と役割

  • プレイヤー: 一般的に4人(3人や5人でも可)。

  • ウードレル (Oudlers): 最も重要な3枚のカード。

    • 21番(世界)1番(魔術師/ル・プティ)愚者(レ・クーズ)

    • これらを最後に何枚持っているかで、勝利に必要な目標点数が変わります。

  • 切り札 (Atout): 1〜21の大アルカナ。数字が大きいほど強いです。

  • スート: 剣・棒・杯・金貨。各スートには「キング・クイーン・騎士(キャバリエ)・ジャック」の4枚の絵札があります。

ゲームの流れ

  1. 競り (Auction): 手札を見て、自分が「主攻(デクレアラー)」になり、1人で残りの3人(守備側)と戦うかどうかを決めます。

  2. プレイ: 最初の人が出したスートと同じものを出さなければなりません(マストフォロー)。持っていない場合は「切り札」を出します。

  3. 得点計算: 1トリックごとにカードを回収し、最後に点数を合計します。

ここが面白い:勝利条件の変動

主攻が勝つために必要な点数は、獲得した「ウードレル(重要3枚)」の数で決まります。

  • 3枚持っている場合:36点取れば勝ち

  • 2枚持っている場合:41点取れば勝ち

  • 1枚持っている場合:51点取れば勝ち

  • 0枚の場合:56点必要

**「1番(ル・プティ)」**は最も弱い切り札ですが、最後まで守り抜いて勝つ(最後に1番でトリックを取る)と、ボーナス点が入るという熱いルールがあります。


2. マルセイユ版の図像が風刺していたもの

マルセイユタロットの絵柄は、当時のヨーロッパ社会の階級や道徳観を強烈に反映しています。

「女教皇(La Papesse)」:教会のスキャンダル

カトリック教会において女性の教皇は存在しません。これは中世の伝説「女教皇ヨハンナ(男装して教皇になった女性)」をモチーフにしており、当時の教会の腐敗や、あり得ないことへの皮肉が込められていました。

「教皇(Le Pape)」と「皇帝(L'Empereur)」:権力の二重構造

当時の人々にとっての「世界の支配者」です。精神世界のトップ(教皇)と俗世のトップ(皇帝)が並んでいるのは、当時の二大権力体制をそのままカタログ化したものです。

「塔(La Maison Dieu)」:神の家からの転落

フランス語で「神の家」と呼ばれますが、描かれているのは塔に雷が落ちて人が真っ逆さまに落ちる図です。これはバベルの塔の寓話であり、**「慢心する金持ちや権力者は必ず神の怒りに触れて没落する」**という庶民の溜飲を下げる風刺でした。

「死神(13番)」:死の前の平等

マルセイユ版では名前が書かれていないことが多いカードです。王冠を被った首が地面に転がっている様子が描かれます。これは「死の舞踏」という中世以来のテーマで、**「王様も乞食も、死の前では平等に骸骨になるのだ」**という強烈な社会風刺です。

「愚者(Le Mat)」:社会の外側にいる者

唯一番号がない(あるいは0番)のカードです。社会の階級制度からドロップアウトした放浪者や、王宮で唯一王に毒づくことが許された「宮廷道化師」を象徴しています。**「正気の世界(社会)を笑う狂気」**という役割を持っていました。


まとめ

マルセイユタロットは、現代の私たちが思うような「おどろおどろしい予言の書」というよりは、**「当時の社会の仕組みや道徳、皮肉を22枚のイラストにまとめた、持ち運び可能な百科事典」**のような存在だったと言えます。

だからこそ、バロック音楽の旋律が当時の宮廷や教会の空気感を反映しているのと同じように、マルセイユタロットの絵柄も、当時の人々のリアルな死生観やユーモアを反映しているのです。



マルセイユタロットの小アルカナにある4つのマーク(スート)は、単なる記号ではなく、中世からルネサンス期にかけての**「封建社会の4つの階級」**を象徴しています。

当時の人々にとって、この4枚のカードセットは「社会の縮図」そのものでした。


4つのスートと社会階級の対応表

スート(仏語)シンボル象徴する階級現代のトランプ
剣 (Épée / エペ)武器貴族・騎士 (武力・統治)スペード
聖杯 (Coupe / クープ)儀式用の杯聖職者 (信仰・精神)ハート
金貨 (Denier / ドニエ)通貨商人・ブルジョワ (経済・財産)ダイヤ
棍棒 (Bâton / バトン)杖・農具農民・労働者 (労働・活力)クラブ

各スートの背景にある意味

1. 剣 (Swords) :貴族・騎士階級

剣は「騎士道」や「権力」の象徴です。当時は身分によって持てる武器が制限されており、剣を持つことは特権階級の証でした。

  • 意味: 決断、勇気、闘争、あるいは法による支配。

  • 当時の感覚: 「私たちを守り、あるいは支配する人々」という視点です。

2. 聖杯 (Cups) :聖職者階級

教会のミサで使われる聖杯(チャリス)を指します。中世ヨーロッパにおいて、教会は社会の精神的な中心でした。

  • 意味: 愛、感情、慈悲、精神的な豊かさ。

  • 当時の感覚: 「私たちの魂を導き、神との仲介をする人々」を象徴しています。

3. 金貨 (Deniers) :商人・銀行家階級

ルネサンス期、地中海貿易などを通じて急速に力をつけた商人の象徴です。マルセイユは港町だったので、この「お金」の動きには非常に敏感な土地柄でした。

  • 意味: 物質的な豊かさ、現実的な成果、商売。

  • 当時の感覚: 「世の中を回し、実利をもたらす人々」を表しています。

4. 棍棒 (Batons) :農民・労働者階級

「バトン」は、農民が使う杖や、重い荷物を担ぐための棒、あるいは仕事道具を象徴しています。人口の圧倒的多数を占める「働く人々」です。

  • 意味: 根源的なエネルギー、労働、成長、日々の糧。

  • 当時の感覚: 「額に汗して大地を耕し、社会を底辺で支える人々」というイメージです。


なぜこの4つなのか?

この4つの区分は、当時のヨーロッパの**「三機能体系(祈る人、戦う人、働く人)」**という社会観に、「商人」という新しい勢力が加わった形を反映しています。

トランプの「スペード・ハート・ダイヤ・クラブ」も、実はこのタロットの4つの階級をさらに簡略化したものです。

  • スペード(剣の先端)

  • ハート(聖杯の形)

  • ダイヤ(金貨の形が四角いタイル状に変化)

  • クラブ(棍棒の断面、あるいは三つ葉のクローバー)


文化的な面白さ

マルセイユタロットを手に取るということは、**「当時の社会の全階級を自分の手の中に収める」**ということでもありました。

例えば、ゲームで「剣のキング」が「金貨の3」を負かすのは、社会秩序として「騎士(武力)が商人(経済)より優位にある」という当時の価値観をゲームのルールとしてなぞっているような側面もありました。

占いの文脈では、これらがさらに「四大元素(火・水・風・地)」と結びついていきますが、もともとはこうした非常に**「生々しい社会の区分」**から始まっていたのです。



教会旋法と調の関係性 (Gemini)

 教会旋法と調の関係がよくわからない。 第一旋法(ドリア旋法)は終始音がニ(D)だからニ調のはず。 それなのにト調の第一旋法もあるらしい。  ---------- Gemini 教会旋法(チャーチ・モード)と近代の「調(キー)」を同じルールで捉えようとすると、どうしても混乱してし...