ダングルベールの『クラヴサン曲集(Pièces de clavecin)』(1689年出版)に収められた第1組曲(ト長調)は、どこまでを「1つの組曲」とみなすか、また楽譜の指示通りに並べ替えるかによって「最後の曲」が3通りに分かれます。
- オリジナル作品群の最後: 第12曲 Menuet(メヌエット)
- 演奏上の実質的な最後(リュリ編曲群を含む):
第16曲 Chaconne de Phaëton de Mr. de Lully(リュリ氏の『ファエトン』のシャコンヌ) - 出版譜の印刷順での最後: 第17曲 2e Gigue(第2ジーグ)
17世紀フランスのクラヴサン音楽の慣習として、出版譜では同じ調性の作品が1つの大きなグループ(Ordreに近い形)としてまとめられています。1689年版のト長調グループ(全17曲)の印刷順は以下の通りです。
オリジナル作品群(舞曲組曲)
- Prélude(プレリュード)
- Allemande(アルマンド)
- Courante(クーラント)
- Double de la Courante(クーラントのドゥーブル)
- 2e Courante(第2クーラント)
- 3e Courante(第3クーラント)
- Sarabande(サラバンド)
- Gigue(ジーグ)
- Gaillarde(ガイヤルド)
- Chaconne en Rondeau(ロンド形式のシャコンヌ)
- Gavotte(ガヴォット)
- Menuet(メヌエット)
リュリ作品のトランスクリプション(編曲)および追加曲
13. Ouverture de Cadmus de Mr. de Lully(リュリ氏の『カドミュス』の序曲)
14. Ritournelle des Fées de Roland de Mr. de Lully(リュリ氏の『ロラン』の妖精たちのリトゥルネル)
15. Menuet « Dans nos bois »(メヌエット『我らの森で』)
16. Chaconne de Phaëton de Mr. de Lully(リュリ氏の『ファエトン』のシャコンヌ)
17. 2e Gigue(第2ジーグ)
なぜ「最後の曲」が分かれるのか
- 第17曲「第2ジーグ」の特殊な配置指示印刷譜のページ上ではト長調の掉尾(17曲目)に「第2ジーグ」が置かれていますが、楽譜にはダングルベール自身による « On la joue avant la Gaillarde après la 1re Gigue »(第1ジーグの後、ガイヤルドの前にこれを弾く) という注記があります。彫版のレイアウトや後から追加された都合で末尾に印刷されていますが、実際の演奏順序では第8曲と第9曲の間に挿入されます。
- オリジナル組曲とリュリ編曲の区切りダングルベール自身のオリジナル舞曲だけで組曲を完結させる場合は、第12曲のメヌエット(あるいは規模の大きい第10曲のシャコンヌ・アン・ロンドー)で閉じるのが一般的です。一方、続くリュリのオペラ編曲群まで含めてト長調の全曲をひと続きに捉える場合は、壮大な第16曲『ファエトン』のシャコンヌが実質的なフィナーレとなります。
組曲ト長調の全体像や各舞曲の配置の流れを実際の演奏で確認するには、Jean-Henri D'Anglebert – Pièces de clavecin (Suite in G major) が参考になります。
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